生活コストの削減で新規需要創出
高度成長時代とは違い、成熟期を迎えた資本主義社会にあっては、個人や企業は切磋琢磨し、競争に打ち勝ってこそ勝利の美酒に酔い痴れることもできるが、投資や新しい技術、ビジネス、サービスに成功した者、それに運よく関われたものだけが報われる世界である。同じことにせっせと身を挺して働いても、必ずしも従来のような昇級やベースアップは望めるものではない。
豊富な「もの」、多種多様な「サービス」、現代は欲しいと思えば何でも手に入る豊かな世界であると言えよう。その豊かさを享受し豊かな未来を造り出すためには、すべての人々がその豊かさを等しく享受できるようなものにしなくてはならない。従来は年齢相応に給与も上がり、結婚や子育て、教育、住宅の取得、引退後の生活、お金が必要になる頃はきちんと貯蓄も出来るだけの余裕があった。しかし現代では、若者が良き伴侶を得て幸せに暮らそうと考え、結婚や夫婦二人の生活に必要なものを見積もって行くと、貯金がいくらあっても不安が付きまとう。結婚費用に始まり、住宅や必要な家財、二人の生活が始まれば月々の経費や小遣い、将来の出産・育児・教育のための貯金等々、考えれば気が遠くなりそうだ。
夫が外に出て働き、妻は専業主婦として家庭を守るという分業が出来る程、夫の収入は期待できない。結局は夫婦共働きで、家事や育児全てにおいて夫婦が平等な負担をしていかなければならない。二人の収入を合わせても生活に目一杯で、子育てさえも断念せざるを得ない世帯が多いのが実情だ。このような状況で、欲しいものや新しい魅力的なサービスがあっても諦めてしまうか、どうしても必要と思えば何か他のものを犠牲にせざるを得なくなる。豊かな世界の実現には、『従来型の生活コストを大幅に低減し、新しい生活サービスへの大幅な支出を可能にするための施策』 が必要になる。
何故ならば、新規産業分野を創出し、雇用を促進しようとしても個人は既に手一杯で更なる消費支出は不可能である。結局、介護保険制度のように公的資金で雇用創出するだけのことである。バブル崩壊による打撃と度重なる災害や凶悪犯罪、政治不信、国民は疲弊しきっている。これらの閉息感から解放され、国民が安心感を取戻すためにはこれ以外の施策は意味がない。
生活コストの低減のための国の施策
『国民の生活が第一』というなら、その第一歩は『生活コストの削減』である。欧米諸国に比べて高すぎる公共料金、住宅、教育、医療、生活必需品などを制度改革や流通システム、産業構造改革を通して価格破壊を進め、徹底的に低減させることである。
子ども手当など、お金を配れば済む問題でもない。まして消費税増税など全く必要ではない。国の硬直したサービスのために増税を課すような政策は愚策である。
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- 生産における人件費以外の部分のコスト低減で徹底的な価格破壊を誘導・推進
- 集約型生産による効率化
- 生産・加工・販売(農林水産業などの6次化)
- 顧客ニーズに合わせたBTO生産
- 流通経路の多様化など
- 技術革新の目覚ましい商品および耐久消費財の長寿命化システムを確立し、設備投資、資源エネルギーの浪費を抑え、再利用可能資源の回収と廃棄物の少量化を図るなど、消費者に安心感を与える方法を模索
- 高付加価値化路線に対し、実用性・安定性追求路線の確立を支援
- 民間のチェック機関を設けて、安全性・信頼性を担保する制度の導入
- 統一規格の導入、製品のキット化、部品交換の簡便化など
- 耐久消費財の販売時に下取りを義務化する
- 住宅およびアパートの長寿命化で住宅費の低減
- 長寿命建築物に耐震・耐火性能と地盤及び立地条件を加えて認定
- 建設・保有維持に対する税負担の軽減
- 世代をまたぐ長期建設ローンの設定と利子補給制度を創設
- 改装・修繕ローンの利子補給制度を創設
- 住宅性能診断制度及び中古住宅ローン・中古住宅市場の充実
- 公共サービスの負担軽減
- 専門職を除く、国、地方、及び独法職員等の、公務員給与水準(平均)を民間給与所得者全体平均に連動させ、官民格差を解消する
- 公共投資と税負担、公共サービスと利用料収入に一定の負担原則を設ける
- 公共サービスの質と価格面に関し、地域間競争を促す
- 縦割り行政を廃止して、類似のインフラ投資を排除する
- インフラ整備にスクラップ&ビルドシステムを加え、効率化を図る
- 再生可能エネルギーの利用促進による公共サービス及び光熱費負担の軽減
- 若年労働者の負担軽減で少子化に歯止めをかける
- 企業や地域社会による子育て支援
- 金のかからない教育システムの構築
(教育改革の手始めは大学改革)
(義務教育(小・中学校)+高等学校)
- 高負担を伴わない持続可能な社会保障制度の確立
- 年金制度は、老後の最低生活保障目的保険(老齢基礎年金)のみとする
(年金の世代間扶養を止め、世代間の不公平を払拭する)
(税を財源とし、受給対象に所得制限を設け、無年金者の解消を図る)
(現在の被用者年金各法による制度を一本化し、所得比例部分は、年金原
資を確定した後に、受給上限額を見直し民営化する) - 医療・介護保険制度の見直しによる負担の軽減
- 生活保護は、現金支給から現物支給へ
- 新雇用対策で自立支援
- 年金制度は、老後の最低生活保障目的保険(老齢基礎年金)のみとする
- 生産における人件費以外の部分のコスト低減で徹底的な価格破壊を誘導・推進
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