三権分立の確立と主権者たる国民の意思反映
<国民の意志を反映することのできる三権の分立>
「行政」・「立法」・「司法」の三権を国民が直接担ぎ上げ、監視する
<三権それぞれを国民と等距離に置く。>
《行政権》:首相公選制、情報公開と合意形成、民主主義を担保するシステムの導入
現憲法においては真の三権分立は実現できていない。現在の議員内閣制のままでは、行政府を運営する与党議員の関心は大臣就任や政権維持にあり、国民の信託に応える立法府の一員とはなっていない。真の民主主義を実現するためには、政治のシステムをゼロから見直す必要がある。
行政の長たる首相にあっても、国民の直接投票で選ばれたわけではないため、責任感が薄く、党内調整に追われ、国のビジョンを示すこともなく、官僚の書いた作文の読み手の役割を演じているに過ぎない。このままでは日本は衰退の一途を辿るばかりである。『日本再生』には、国民の意を汲んで動ける強いリーダーを政権のトップに据えることのできるシステムが必須である。
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- 独立した行政権を持つ首相の公選制
- 国民に対して直接的な法執行を行う警察、検察、裁判所の運営主体又は監理機関として、独立第三者機関である国家公安委員会、検察委員会、司法委員会を設置し、政府の指揮命令など国家権力の及ばない公平な運営を担保する。
- 情報公開制度と国民合意形成システム
- 国民による行政監視制度
《立法権》:国会の機能強化、衆参両院の役割の明確化と国民投票請求権
行政権限の強化と同時に、国会の機能強化も計らなければならない。現在の国会のように、官僚出身者や二世・三世の世襲議員、弁護士出身者が多数を占め、国会内の質疑応答が全く噛み合わず、質問に答えず、はぐらかして終わるような政府・与党の対応では、国民の信託に堪えるような価値観を持ち合わせているとは考え難い。
また、簡単に官僚や政府に押し切られてしまう烏合の衆的な国会では存在価値はない。政府と対等に渡り合えるだけの知性と合理性の裏付けが必要である。また、政党対立による衆参捻じれを生まないよう、衆参二院制を機能させるためには衆参の機能・役割分担を明確にする必要がある。
更に、政策または法案制定において、国民合意に反した多数派意見が主流を占め、多数派意見の横暴で国民合意が損なわれる状況が発生した場合、その担保として、少数意見の国民への周知制度と国民の審判を仰ぐ制度を導入する必要がある。
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- 議員を職業とさせないために、通算任期の上限を設定する。
- 参議院を良識の府とし、政党に属さない議員で構成する。
- アメリカ議会のCBO(議会予算局)のような第三者機関を付属機関として持ち、具体的な政策で、政府に対抗出来るようにする。
- 否決議案であっても、議会出席議員の五分の一以上の賛成票を得た場合、法案提出者の求めがあれば公聴会に提出し、国民に周知しなければならない。
- 多数党の横暴に対する歯止めとするため、国民投票請求権を設ける。
《司法権》:司法行政への国民監視システムの導入
司法判断において、裁判官が検察の主張や捜査過程で検察官が作成した被告人の供述に重点を置くなど、厳正な証拠主義を用いず、裁判官自体も個人の先入観による事実推認や偏向的とも言える社会認識による判決がなされるケースも多々見受けられる。
また、量刑判断においては、動機や犯行の意思の有無、被害者の数、犯罪の反復性、単独犯か共謀犯かなどの他、被告の「反省」の有無が大きな影響を及ぼしている。それらの判断材料は犯罪の抑止や社会のモラル形成に寄与する訳でもなく、犯罪の結果が社会に及ぼす影響や被害者の苦痛を軽減することにもつながらない。
更には、市民的価値観を裁判に取り入れることで、裁判に対する国民の関心を高めると共に、公平さや信頼性を高めるという目的で設けられた裁判員制度も、裁判員の判断が、上告審で退けられるという問題も発生しており、司法のあり方が問われている。
現状のように国民審査で罷免されない限り、停年になるまで任期が継続する裁判官任免制度は、法曹界のどこからでも適材を任用できる民主的な制度にはそぐわず、司法判断の硬直化は避けられない。そのため、司法判断の厳格性が失われ、司法に対する信頼性が失われつつある。
また、司法権は、行政や立法による憲法違反などの判決があっても、実質的な効力を有さない現制度では真の三権分立が成立しておらず、司法権限の独立性および司法判断の波及効果の厳格化が必要である。
《三権を国民と等距離に置き、民主主義を担保する仕掛け》:独立第三者機関
行政・立法・司法の三権が適法に行使されているかについて、国民の総意が民主的に反映されているかどうかを、国民の目となって細部まで厳しく監視し、民主主義を担保する役割を担う。これらの機関は行政・立法・司法、更には社会性を求められる法人に対して監視の目を向けても、決して国民に対してに対して向けられることはない。
現在、公正中立性や専門性が必要な問題を扱うとして、内閣に対し独立の地位を有する会計検査院の他、内閣からある程度独立した地位が与えらた行政委員会がある。国家公務員法3条に基づく人事院、内閣府設置法49条・64条に基づく公正取引委員会と国家公安委員会、国家行政組織法3条に基づき各省庁に設置(三条委員会)された公害等調整委員会(総務省)、公安審査委員会(法務省)、中央労働委員会(厚生労働省)、運輸安全委員会(国土交通省)、原子力規制委員会(環境省)などである。
しかし、憲法によって内閣から完全に独立した地位を認められている会計検査院以外は、内閣や官僚組織から完全に独立しているとは言えず、行政・立法・司法の三権を国民と等距離に置く仕掛けとしては不十分である。したがってこれらを全て廃止して、国民による直接または間接選挙によって民主的に選出された委員で構成された独立第三者機関に置き換えられなくてはならない。