憲法改正について【憲法改正私案】
憲法改正論議では『現憲法の九条をどうするか』の論議ばかりで、現在の政治家、官僚及び一般公務員の腐敗や犯罪、日本経済の基幹部を担う企業のトップの無責任や背信行為、高齢者をターゲットとした振り込め詐欺や投資詐欺、生活保護や要介護者を食い物にする犯罪(貧困ビジネス)、多発する少年犯罪や凶悪犯罪、ストーカーなどによる深刻な人権侵害、親による幼児虐待、個人情報の漏えい、多発する医療ミス、子供のいじめ自殺、学級崩壊、更には公害や環境破壊の進展など、モラルの崩壊と自己中心的な日本社会の齟齬について真剣に論議されてはいない。
制定から五十余年を経た現憲法には、現代社会の実情に合わない部分が多々有る。現憲法でも 「運用方法を考えれば現在のままで十分に通用する。」 という意見もあるが、現在の日本の法制度は運用法が多すぎ、法治国家でありながら、『何を何処までしても良いのか、何処から先が悪いのか?』が判りづらく、勝手な解釈が通用する国なのである。
規制緩和が叫ばれる昨今、憲法そのものの見直しでしっかりした基本法を設け、運用法を極力減らすことを考えた方が良いのではなかろうか。
しかし、保守を騙る一部の人々による『憲法の変更をし易くする憲法96条変更』の論議は、時の政権の都合の良いように憲法を変更する動きに繋がり、立憲主義を土台から突き崩すことに他ならず本末転倒である。また、同条第1項中の国民投票には、議会制民主主義を過信するあまり、国民の意思を正確に反映し、改めて国民目線で確認するという民主主義の基本理念が組み込まれていない。国民投票の有効投票総数の有権者総数に占める割合による国民投票の有効性や賛成者数の有権者総数に占める割合について、更に『厳格な規定』が必要である。
憲法は日本人の価値基準を拠りどころに!
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- 二十一世紀の日本社会において平和共生と成熟した自由平等社会を実現し、国際社会にあっても日本および日本人のアイデティティをもって平和共生に貢献できるものとしたい。
- 政治家や官僚の腐敗を駆逐し、国民による国民のための政治を実現するため、主権者たる国民の明確な定義と主権の行使について独立した条項を設ける。
- 天皇を日本国及び日本国民の伝統と文化の象徴として敬い親しみ、主権者たる日本国民の総意に基づき、天皇を日本国及び日本国民統合の象徴としてその地位を定める。
- 天皇の国事行為はすべて主権者たる日本国民を代理して行う行為であり、国民が選出した内閣の助言と承認に基づき行われ、その責任はすべて内閣が負う。
- 過去の歴史の反省から、外からの自国侵略に対する国土防衛を除き、集団的自衛権の行使による戦争当事国への後方支援を含む一切の戦争行為を放棄する不戦の決意を表明し、世界のあらゆる地域に対し積極的な平和貢献をする。
- 現在の憲法では、全ての国民に基本的人権の享有を永久の権利として保障している。具体的には、自由及び権利を不断の努力により保持し、濫用は禁止され、常に公共の福祉のために利用する責任を負っている。さらに、個人としての尊重と法の下の平等が明確にうたわれ、生命、自由及び幸福追求の権利は公共の福祉に反しない限り法律で保護されている。この中には、個人の努力の必要性や社会的な責任についても明記されている。
しかし、現実には自己の権利ばかりを主張する自己中心主義が横行し、モラルの崩壊を招いている。改正では『児童の健全なる成長』、『人格権』、『環境権』、『定住外国人および日本在住外国人の地位』など未定義の権利の定義と同時に、『自由社会の根底を揺るがす犯罪行為』に対し、その内容や程度による『相当の償い』と『災害、犯罪等の脅威からの保護と被害者の救済』を明確にすべきである。
- 国民の選択による政権交代を実現させるための首相公選制を含む行政権の独立、国民投票請求権などを含む国会の機能強化と質の向上、公平性と民主主義を担保するためのシステムとして、情報公開制度と国民合意形成のための公聴会の設置など民意反映の充実を計るほか、国民による行政監視と国民に対して直接的な法執行を行う警察、検察、裁判所の運営又は監理主体としての独立第三者機関を設置して国家権力の及ばない公平な運営を担保する。
- 国の役割と適正な使途に対する国民合意、公平負担原則、国民負担の上限の設定、災害などの緊急時の迅速な対応措置などを規定し財政の健全化を計る。
- 国と地方の役割分担を定め、道・州など地方政府の領域区分は、分担された役割を適正に全うできる規模に定め、地方自治の自主独立性、自己責任原則を明確にし、少子高齢化社会に対応できるようにする。
十分に論議の上、二十一世紀現在の日本のあり方について、しっかりした基本法として位置付けられるものとすることが重要である。