国民主権、参政権
現行法のように、『主権者が国民であるという厳正なる内容』の表記を天皇の地位を明示するための関連的用語として表記されるのみでは、天皇よりも主権者である国民が軽視されていると考えられなくもない。現在の表記のままでは森総理の『日本は天皇を中心とする神の国』という表現も強ち間違った表現として咎める訳にも行かないことになる。何故なら、この表現は天皇の地位の存続と国民主権を同時に謳うことで明治憲法による『国体』の存続を謀ろうとした現憲法策定時の法制担当者たちの苦心の産物であるからである。
改正では天皇条項を後に下げ、主権者たる国民の主権行使と国民の一般的権利とを分離し、第一条に『主権者たる国民』それに続く条項に『主権の行使』について明記することが重要である。
国政が一部の有力者や世襲議員によって当然のように運営され、国民の意志が十分に反映されない現状を改善し、国民の政治への関心を高め、より国民のための政治の実現を目指すことが重要である。そのためには、規定投票数に満たなければ無政府状態の出現も予定に入れる必要がある。無政府状態にあっては防衛、治安、徴税を除く全ての行政を停止させ、個人の生活に支障を来すこともやむを得ないことである。
さらに、政治家や公務員による利権者との結びつきによる汚職や公務員の地位を利用した乱行など、政治家や公務員に対する国民の信頼は完全に失墜した。しかし、それらの政治家や公務員に対する裁判では窃盗犯よりも軽い刑で済まされてしまうのである。その上、犯罪者である彼等に公費で退職時までの給与はおろか退職金までも支払われることさえある。
これらの現状を改善するためには、国民による情報公開の請求権だけでなく、『国民合意形成システム』と『国民によるチェックシステム』を合わせ持つ必要がある。国民合意形成システムとしては、国政調査室を設け、国民の幅広い意見の受付と公聴会への国民の自由参加を可能にすることである。また、国民によるチェックシステムとしては、国民監視委員会を設け公平な立場で行政の監察や政治家や公務員の不正行為を摘発できるように政治システムを変えて民意の反映を計ることが必要である。
また、公務員には己の立場についての認識だけでなく主権者たる国民の信託を受ける公務員に清廉潔白を求め、違背した場合の責任の重さを理解してもらう必要がある。
第一条に『主権者たる国民』それに続く条項に『参政権の行使』について明記
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- 日本国の主権は国民に存する。
- 日本国民たる要件は法律でこれを定める。
- 国政は主権者たる日本国民の厳正なる信託によるものとし、主権者たる日本国民は国政を信託する首相、国民の意思を国政に反映する代議士としての衆参両院議員、及び国民に代わり民主主義を担保する独立第三者機関の委員の選挙権など、以下各項の権利を有する。
- 選挙権(公務員の選定罷免権、秘密投票の保障)
- 有効投票総数が有権者総数の二分の一に満たない選挙は効力を持たない。
- 首相選挙にあっては有効投票総数の二分の一以上の得票で決し、それに満たない場合は、再度の決選投票を行う。
- 首相、衆議院議員、及び独立第三者機関の委員の選挙権:
(国内外を問わず十八才以上の日本国民) - 参議院議員選挙権:
(国内外を問わず十八才以上の日本国民) - 民主的な運営を担保する独立第三者機関の委員の選任権
- 国家公安、検察、選挙等管理、及び司法の各委員会の委員:
- 政策、法制、会計、情報、金融、公平・公正、雇用、環境・安全などを監視するための国民監視委員会の委員:
- (国内外を問わず十八才以上の日本国民)
- 被選挙権:
衆議院議員(二十才以上の日本国民)
首相及び参議院議員(二十五才以上の日本国民)
独立第三者機関の委員(二十五才以上の日本国民) - 憲法の改正などについての国民投票権 <国民投票とその効果>
(国内外を問わず十八才以上の日本国民) - 公開情報の請求及び取得
- 国民合意形成のための国政調査室に意見を提出及び公聴会への参加
- 公務員の役割と権利の制限
- 選挙権(公務員の選定罷免権、秘密投票の保障)