山積する政治課題
現在の政治制度のままでは、首相の顔や政策が見えず、重要課題も密室政治の中で葬られてしまう。わが国の政治は、政策の善し悪しよりも利権の奪い合いに誰が勝てるかで政治家を選んできたように思える。その結果、本当の危機が到来し、その対策を迅速かつ適切に遂行しなければならない局面でも、経験もなく事前のシミュレーションもないため、必要な政策を決定することも実行することも出来ない。阪神淡路大震災、オウムのテロ事件、ペルー人質事件、ナホトカ号オイル流出事件、現在の経済危機、どのような性質の危機であろうと、迅速かつ適切に対応出来ない政府は存在の意味がない。
日本経済の再生は、徹底的な情報開示による経営責任の明確化と産業構造改革による企業体力の向上、貸し渋りに喘ぐ中小零細企業への直接貸し出し、規制緩和による新規雇用の創出および生活コストの大幅削減が必要なのである。特に生活コストの大幅削減は給与や収入の増加を見込めない向後の未来社会にあって、新製品や生活スタイルを変えるような新サービスを目指して新規事業の創出を模索しても、更なる支出は無理であり、消費者がついて行けず絵に描いた餅にしかならない。現政府のように、銀行の救済や公共投資、所得税特別減税、一時的雇用対策だけでは問題を先送りするだけで根本的な対策にはなり得ない。また、アメリカ型の自由競争原理の推進は一歩間違えば日本および日本国民を重大な危機に陥れる危険さえ孕んでいる。
大胆な改革の実現には、国民が直接首相を選び、立法府から独立した強い行政の長を設ける必要がある。さらに、国民がその行政を点検し、誤りや行き過ぎを正す仕組みとして、情報公開制度と行政監視制度が必要である。同時に、国会の議員定数を半分以下として効率化を図り、機能を強化するために、アメリカ議会のCBO(議会予算局)のような第三者機関を付属機関として持ち、具体的な政策で国会が政府に対抗出来るようにする必要がある。日本再生のためには憲法を含めた根本的改革が必要であり、現役政治家とは一線を画す新しい政治勢力を結集して、利権を断ち切り、クリーンな政治を実現することが必要である。そして、世界に日本のアイデンティティを示すことである。
前記の政治課題は未だ手付かずのままだが、現在やらなければならない緊急かつ最優先の課題は、東日本大震災からの復興、福島第一原発事故の収束および被災者賠償である。アメリカ主導のTPP参加や消費税増税などの問題は、日本再生のために必要な「日本の将来ビジョン、政治・経済・教育・社会保障制度など国政すべてのあり方」を徹底的に見直すことなしに行える筈もない。
現在、やらなければならない政治課題は山積みである。
など、すべての項目について、徹底的な見直しが必要である。