政策提案の要旨
お任せしておけば社会の変化を機敏に察知し、なんとかしてくれた人々はもういない。世界の動きをにらみ、私たち一人々々が判断しなければならない時代なのだ。無関心で済まされる事態ではない、ボヤボヤしてると、全てのリスクは私たち自身に直接降りかかる。
それでも無党派気取りの無関心を装いますか?
どのようなリスクをも背負えるなら、それで良いでしょう。
法の下の自由平等、自己責任原則
本来、自由平等は『法の下』の限られたものであり、金や力や知恵があれば何をしても良いというものではない。他の安全や安心を侵すものであれば、厳しく制限されるべきものであり、人権にしても同じことである。
『やり得、やられ損』を許してはならない。
そのためには、自由を保証する代わりに、責任も重い成熟社会を作り出すことである。為した行為が、その行為によって他に害を及ぼしたり、他の権利を阻害した場合の責任負担を明確にする必要がある。
また、自然環境の保全や公害の規制強化、生活廃棄物の排出や投棄についての規制強化、資源エネルギーのリサイクル等々は、グローバル目標であり、わが国は国民的目標として、その先進的な推進者となるべきである。
そのためには『自己管理、自己責任、自己評価』の概念を明確にし、個人や企業の責任を規定することが必要である。
国や地方の役割と国民負担
国や地方政府は『自由』、『平等・機会均等』、『安全・安心』、『情報の共有』の最小限の保証を国民に約束するのみで十分である。
国の主要な役割は、外交・防衛・安全保障、出入国管理、国土環境保全、総合経済政策、社会資本整備、教育の保証、雇用・福祉・健康のセーフティネットおよび国民の権利の保証などの政策で、『平和国家』と『豊かな国民生活』を実現することである。
政府のもう一つの役割は富の再分配である。地方税収の格差は地方政府の基幹部分の役割分担に支障をきたすことになるため、地域間格差を埋めるための再分配(交付税)が必要である。また、長期的な景気低迷による求人の減少や非正規雇用の拡大は、生活や雇用に不安を抱える若年層の結婚観の変化や子育て不安を助長し、出産率を押し下げ少子化に拍車をかけている。富の再分配は子育て支援、教育、雇用対策、および生活保護などのセーフティネット政策として行われなければならない。
地方政府の主要な役割は、防災などの危機管理、治安維持、生活環境や産業基盤の整備・保全などの他、より市民の側に立った産業支援や雇用対策、教育・人材育成、医療および社会保障などである。
国の役割が減少すれば、当然のことながら、増税もなければ高負担の心配もない。個人や企業があまりにも多くのことを政府に望めば、役人の数も増えるし無駄金も多くなり、結果的に『国民負担』も重くなる。
産業構造改革
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- 公共事業依存型の経済構造はバブル景気と共に崩壊したが、もう一つの「厄介者」である輸出依存型経済構造はリストラによる失業者の排出や下請け企業への値下げ圧力により、社会に歪をもたらしながら生き残りを模索し続けている。日本経済の再生は、自由競争の加速や金融で稼ぐような新自由主義型の発想ではなく、実需対応型の産業構造への転換が必要となる。最先端の技術や日本の伝統的な文化に根差した価値観を世界標準とする取り組みで自由市場における企業の体力向上を模索できるよう国家的支援で誘導する必要がある。
- 中小企業の体力向上と、起業意欲を促進し新規事業を創出するためのネットワークや投資家グループによる起業家支援基金を作り、起業家や先端技術者が工業所有権を取得したり、開業資金を調達するための援助を行う。この場合、事業内容を重視し融資時の土地担保融資を原則禁止する。
- 東日本大震災や福島第一原発事故後のこの閉塞感と喪失感から日本の元気を取り戻すには、被災地にあっては災害復興、その他の地域では環境保全目的の実験投資による緊急雇用対策と、原子力発電に替わる代替発電施設の設置促進と産業構造改革による経済再生、これ以外の特効薬は見当たらない。その財源は、国と地方の公務員および独法職員の給与(ボーナス・退職金を含む)を3割削減し、年間9兆円余を捻出すれば十分である。
- 企業経営の合理化による価格破壊と住宅、教育・医療費等の低減で生活コストを大幅削減して、消費生活の質の向上を計ると同時に、高齢化に伴う費用負担増への備えに充当できるようにする。
- 自治体と協力し、地縁団体などへの支援との意識改革で、介護を必要としない予防医療の充実を図ると同時に、介護・福祉関連の雇用環境を整備し雇用を促進する。
- 教育制度を見直し、NPO法人などの参入を促進し、幼保・少学校の一体運営や自由カリキュラムの導入、更には全寮制の中高一貫校などの整備で子育て世代を支援し、少子化に歯止めをかけると共に、硬直した教育からグローバル化時代に即した日本の伝統や日本人の価値観を世界に発信できる人材育成を図る。自治体などは公立校をNPO法人へ売却するなどの方法で財務体質の改善を図ることも可能となる。
行財政改革
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- 議院定数や公務員数を半減し、議員給与を経費総額ベースで半減、公務員給与は民間給与所得者平均に完全に連動させる。行政のスリム化と同時に、システムによって利益を受ける利権者集団と彼等と結託していた政治家や官僚を完全に排除する。政治家や官僚と財界その他の利権者との癒着は慣習となっており、社会全体からモラルを完全に追放してしまった。それらの排除を最優先しなければ、行財政改革の実効も社会全体のモラル回復も望めない。
- 公共事業の大幅削減とコストの低減。
- 議院内閣制を廃止し、行政の長である首相を国民が直接選挙で選ぶ方式として、真の三権分立を実現する。政治主導で官僚任せの政策の自動遂行システムを解体し、情報公開と国民による監督管理・チェックシステムの導入で、国民合意の政治システムを構築する。
- NHKを民営化し、公共放送としてのNPO法人による報道チャンネルを複数局設ける。
- 国や地方の役割と税負担原則の整合性を確立。
- 自己の確立、個々の尊厳、社会的モラル、地球環境、共生社会のルールを学びながら、個性尊重の教育内容とし、教育の機会均等と高等教育のレベルアップ
- 安全安心を担保するための福祉政策、雇用保険制度、医療保険制度、年金制度における国民合意の確立。