厚生・共済年金は憲法違反
国民年金法第七条第三号の被保険者、つまり、厚生年金等被保険者の被扶養配偶者は、国民年金の基礎年金分の保険料を、夫の支払った厚生年金等から充当され、直接の支払い義務を免除されている。
では、前述の第三号被保険者の保険料は一体誰が負担しているのだろうか? 夫がその分を負担している訳ではない。何故なら、サラリーマンは男だろうと女だろうと、被扶養配偶者の有る無しに関わらず、収入の額に応じて同率の厚生年金保険料を支払っている。
このシステムを考えた人は、どのような社会を想定したのであろうか? 『働く者は全て男性で、必ず結婚して、中途で離婚することはなく、夫が死んでしまったら、妻は子供を抱えて路頭に迷うような社会』を想定したに違いない。まさか女性が男性と同等に働くことなど考えられなかったのだろう。
しかし、今はそんな時代ではない。そのしわ寄せがどのような歪みを生み出し、年金制度を破たんに追いやっているのかを考えなくてはならない。独身サラリーマンや結婚していても専業主婦でない働く女性は、不当にも、第三号被保険者の基礎年金分の保険料の一部を負担させられている。さらに、被扶養配偶者は、夫が年金加入中に亡くなったり、老齢年金受給中に亡くなった場合、遺族年金を受ける資格があり、実際に支払われている。独身者は、死んでも子供が無ければ誰にも遺族年金が支払われることはないのである。
厚生年金は、報酬に対して同率の保険料を支払い、報酬額に比例した年金額が支払われる制度である。概念的には、『支払った保険料は支払い者本人を保障するためにある。』 べきものである。そこには所得の再配分と言う概念はない。
制度の運営において、徴収保険料の総額から支給額を決めるのではなく、保険料徴収時には被扶養配偶者の有無を問わず、支給では加給年金や遺族年金などの特典を付けるなどの大盤振る舞いをする。それを世代間扶養で運営するからおかしなことになる。経済成長と人口の増加が続き、扶養者と被扶養者の割合が変わらなければ問題はなかったが、現在のように経済が停滞し、人口減少に拍車が掛かる局面ではシステム破綻が当然の帰結である。
給付額を減らさずにシステムを維持しようとすれば、国民に更なる負担増を求めなければならない。自転車操業のような増税策では、最悪の場合、現役世代に背負いきれないほどの重荷を背負わせることになった挙句、破綻してしまう可能性も否定できない。このような不公平があって良いものだろうか?
国民年金のみの加入者と比較した場合、厚生年金および共済年金等の制度内には明らかに不公平な部分が存在する。厚生年金3号被保険者の扱いにあっては、厚生年金加入者間でも不公平。厚生年金の事業主負担は、優秀な人材確保のために負担する企業努力として許されるものであっても、共済年金の税金負担部分は一部の国民への不当な利益供与(約2兆円超)にあたる。
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- 厚生年金3号被保険者の扱い
- 厚生年金および共済年金等の所得比例年金部分の扱い
- 厚生年金および共済年金等の加給年金の扱い
- 共済年金や私学共済での保険料率の優遇
- 共済年金の事業主負担分(税金)
- 共済年金の職域加算(税金)
これは、明らかに憲法第14条(法の下に平等)に違反している。年金改革の第一歩は、この憲法違反部分を即時解消することから始めなければならない。厚生・共済年金の報酬比例部分は初めから国が管掌すべき制度ではなかった。税負担を即時停止し、民営化を進めるべきである。
<社会保障を支える制度の問題、年金制度の問題、無理のない制度の構築>
<厚生・共済年金は憲法違反>
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<年金制度改革案>
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<雇用対策>
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