共生とは

 共生とは、「共に在り」・「共に生きる」という概念だ。「共に在る(coexist)」とは、人間関係に止まらず、動植物、それらを育む地球環境、太陽、月、星々の輝く大宇宙、さらにはそれら相互の関わりによって生ずる様々な自然現象、その中で知覚できる全てのものをありのままに見つめ、それらから得られる利益に一方的に依存するのではなく、それら全ての存在が自分自身の存在と密接に関わっていることを知り、何一つ軽視することなく関わって行く共存という形態であろう。
 「共に生きる(symbiosis)」とは、人間の生の営みの中で積極的に周りの存在と関わって行くことになるが、相手が人や国ならば妥協することなく共に相手を尊重し合って互いの親交を深め、争いの根をつくらないことが肝要であり、動植物や大自然であれば再生不可能な痛手をあたえることもなく、常態回復可能な範囲で節度を以って利用し、人間の傲慢で自らの生息環境を破壊するようなことがないようにしなければならず、異質なものを認める寛容さと犯すべからざるルールがなくてはならない。

 一方、協調とは個人および団体・法人・国家など人によって支配される組織間の関係に限られ、双方が相手の意見を尊重し、しかも自分の意見を譲ることなくお互いの話し合いで一致点を見いだし、その一致点に向かって協力することを云うようだ。しかし、その一致点を見いだす努力の中には常に力学が存在する。現在の外交はすべてこの双方の力関係で決まって行く。国際関係上の協調はすべて妥協の産物であり、友好関係の陰で泣かされる者が出る。