国益を守る政治
国益とは国家の目的を適えるのに利益があること。
国家は、独立国として国土(領土、領海、領空)及び国民の生命・財産・文化を守り、維持発展させるために存在している。
この目的に合致し、さらに増進するために、国家は、運営の基礎となるべき法体系、政治システム(立法・行政・司法)、政策、安全保障体制、治安体制、外交、通貨と財政制度、教育制度、社会保障制度を持たなければならない。
国家は、持てるシステムや制度を有効に活用し、危機対応、国家主権の行使、領土の保全、治安維持、外交、出入国管理、国民の人権擁護、資源・エネルギー・食料などの安定確保、国内経済および産業の安定的発展と安定雇用、通貨安定、地域格差を平準化する財政措置、有形財産及び知的所有権など無形財産の保護、社会資本整備、環境保全、災害対策、医療・保険・年金・福祉制度の維持発展などに努めなければならない。
以上のような国家の役割を、障害なく遂行できることが国益であり、外交や経済協定などにおいては、「国益となり得るか、否か」について検証されなければならない。
未解決の外交問題
【過去から現在まで、解決の見通しもないまま引き継がれている問題>
- 国益を検証するにあたり、過去は塗り替えることのできないものである。しかし、現在および未来に大きく関わりその行方を左右することは確実である。
- <歴史否定や捏造>
- 歴史を恣意的に否定し、捏造するなどの行為が国の内外で行われている。これを放置しては、私たち自身が私たちの拠り所とするものを失うことに繋がり、決して許してはならないことである。これらは、太平洋戦争の戦前戦中を通しての国際問題でもあり当事者間の対話で解決を図れる問題でもない。国を挙げての歴史検証を通じ事実関係明らかにすることで全ての疑念を一掃し、責任の所在を明確にした上で、毅然として望むべき問題である
- <日米安全保障条約=不平等条約>
- 日米安全保障条約は、1951年9月8日サンフランシスコ平和条約と同日に締結され、地勢学的にわが国がイデオロギー対決の西側最前線でもあったことから安全保障面では日米双方の利害が一致していた。
1991年12月、ソ連崩壊により東西冷戦が終結した。本来なら、その時点で日本政府は発展的な日米関係を構築するために、相互の役割分担とともに基地のあり方についても見直すべきであった。しかし、その後の極東アジアの不安定化や北朝鮮の脅威、中台関係の不安定さや中国の軍事力増強など、日本および周辺地域の平和への脅威に共同対処するためとし、更には、アメリカの9・11同時多発テロ後、アメリカはテロとの戦いを打ち出し、以降、在日米軍基地はアフガニスタン戦争とイラク戦争に特化した出撃と後方支援の中核を担い、日米両国間における根本的な日米同盟のあり方についての協議は一切ないまま、引き続き条約は継続している。
この間、米軍への基地提供、軍事空域設定による民間空域の制限、民地への航空機墜落事件などの危険性や基地騒音などの他、米兵による犯罪、特に婦女暴行などの凶悪事件が発生している。しかし、日米地位協定により、理不尽にも裁判権を放棄せざるを得ないケースが80%以上にも達している。
- 日米安全保障条約は、1951年9月8日サンフランシスコ平和条約と同日に締結され、地勢学的にわが国がイデオロギー対決の西側最前線でもあったことから安全保障面では日米双方の利害が一致していた。
- <領土問題>
- 終戦直後に侵攻したソ連に占領され、以降不法占拠の続いている北方領土、敗戦処理の最中の1952年1月18日、朝鮮戦争下の韓国政府は、サンフランシスコ平和条約の発効3ヶ月前に、マッカーサー・ラインに代わる李承晩ラインの宣言を行い、翌1953年4月20日には韓国の独島義勇守備隊が、竹島に駐屯し以降不法占拠を続けている。
- また、わが国が自国領土として実効支配する尖閣諸島においても、1968年の国連アジア極東経済委員会の海底調査の結果、東シナ海の大陸棚に石油資源が埋蔵されている可能性があることが指摘され、1971年6月に台湾(中華民国)が領有権を主張しはじめ、同10月に一つの中国の主張から中国が安全保障理事会の常任理事国をも含む代表権を獲得し、同12月には中国が台湾に代わって領有権を主張し、現在に至っている。
- <北朝鮮による日本人拉致問題>
- 1970年代から1980年代にかけて、北朝鮮の工作員や在日朝鮮人などにより、多数の日本人が極秘裏に北朝鮮に拉致され、日本政府は拉致事案として12件、拉致被害者は17人を認定した。 北朝鮮政府側はこのうち13人の拉致を公式に認め、5人が日本に帰国している。
しかし、その他にも「救う会」や「特定失踪者問題調査会」が拉致の確率が高いと判断した人々を含めると拉致被害者数は100人を超えるとも言われている。
- 1970年代から1980年代にかけて、北朝鮮の工作員や在日朝鮮人などにより、多数の日本人が極秘裏に北朝鮮に拉致され、日本政府は拉致事案として12件、拉致被害者は17人を認定した。 北朝鮮政府側はこのうち13人の拉致を公式に認め、5人が日本に帰国している。
経済外交:TPPは、多国籍企業の利益を保証するが、国と国民を疲弊させる
【現在から未来にわたり、危惧される問題】
法や政策の執行、安全保障、治安、通貨と財政、教育、社会保障、更には、社会・環境の変化などに対応した新法の制定や政策の策定に対し、二国間または多国間の条約や協定などにより、理不尽な取り決めに屈することなく、また、制限や制約等を受けることなく、独立国として国家の役割を果たし得ることが重要である。『日米地位協定』やFTA、EPA、TPPなどの経済協定における『関税自主権の放棄、ISD・ラチェット条項などの容認』は、国家が自らのフリーハンドを放棄することであり、国益に反するものである。
【パワーゲームとの決別で、国益優先の経済運営を!】
多国籍企業は、税などの負担を考え、最も有利な処にその本拠を置くことが出来、企業発祥の母国への義理もなければ、安定雇用を約束することもない。全てが利益優先の企業論理で運営されている。しかし、日本のバブル経済崩壊やアメリカ発のリーマンショックなどの経済危機が起きれば、大きすぎて破綻させられないと言われ、公的資金投入で企業再生支援を受け、債務の軽減や社員解雇などのリストラが合法的に行われる。多国籍企業経営者が損を引き受けることはなく、そこに働く社員や納税者だけが負担を引き受けることになる。そして彼らは、ビッグマネーを元手に、次のパワーゲームに精を出す。
FTA、EPA、TPPなどの経済協定は、多国籍企業の意を受け、「グローバル化」 と言う大義名分を押し立てた 「弱肉強食の押し売り外交(パワーゲーム)」である。政府は、これらの経済協定が、貿易収支の改善や国内の雇用拡大につながり、ひいては景気の拡大で税収増が期待できると信じ、このような企業の代弁者となって協定を結ぶことに専念する。当然のことながら、その交渉過程においては相互の要求事項に応じ互いに妥協をする部分もある。政府にしてみれば簡単な足し算・引き算の問題かもしれないが、その埋め合わせにそれらの産業分野への補助金を出すことになり、歳出増で納税者の負担を増やすことになる。
TPPの原型は北米自由貿易協定(NAFTA)にある。NAFTAでアメリカ・メキシコ・カナダのいずれが勝利者になれただろう。どの国も疲弊し、国民の格差は拡大し、良い思いをしているのは多国籍企業の経営者だけである。